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⑴ 制度の概要

① 中央清算されない店頭デリバティブ取引の 証拠金に係る利子の非課税

 外国金融機関等が、国内金融機関等との間 で平成30年 3 月31日までに行う店頭デリバテ ィブ取引に係る証拠金で一定の要件を満たす

ものにつき、当該国内金融機関等から支払を 受ける利子については、一定の要件の下、所 得税を課さないこととされました(措法42①)。

② 中央清算店頭デリバティブ取引の証拠金に 係る利子の非課税

 外国金融機関等が平成30年 3 月31日までに 行う店頭デリバティブ取引に基づく相手方の 債務を金融商品取引清算機関が負担した場合 に当該金融商品取引清算機関に対して預託す る一定の証拠金につき当該外国金融機関等が 支払を受ける利子又は国内金融機関等が同日 までに行う店頭デリバティブ取引に基づく相 手方の債務を外国金融商品取引清算機関が負 担した場合に当該国内金融機関等に対して預 託する一定の証拠金につき当該外国金融商品 取引清算機関が支払を受ける利子については、

一定の要件の下、所得税を課さないこととさ れました(措法42②)。

⑵ 非課税の対象となる者

 本制度の適用を受けることができる者は、そ れぞれ、上記⑴①の特例については外国金融機 関等とされ(措法42①)、上記⑴②の特例につ いては外国金融機関等及び外国金融商品取引清 算機関とされています(措法42②)。

(注 1 ) 「外国金融機関等」とは、外国の法令に準 拠して当該国において銀行業、金融商品取 引業又は保険業を営む外国法人をいいます

(措法42④一)。

(注 2 ) 「外国金融商品取引清算機関」とは、金融 商品取引法第 2 条第29項に規定する外国金 融商品取引清算機関をいい(措法42④五)、

具体的には、外国の法令に準拠して設立さ

れた法人で外国において金融商品債務引受 業と同種類の業務を行う者のうち、内閣総 理大臣の免許を受けて金融商品債務引受業 を行うものをいいます(金商法 2 ㉙、156の 20の 2 )。なお、「金融商品債務引受業」とは、

金融商品取引業者、登録金融機関又は証券 金融会社((注 2 )において「金融商品債務 引受業対象業者」といいます。)を相手方と して、金融商品債務引受業対象業者が行う 対象取引(有価証券の売買若しくはデリバ ティブ取引(取引の状況及びわが国の資本 市場に与える影響その他の事情を勘案し、

公益又は投資者保護のため支障を生ずるこ とがないと認められるものとして一定の取 引を除きます。)又はこれらに付随し、若し くは関連する一定の取引をいいます。)に基 づく債務を、引受け、更改その他の方法に より負担することを業として行うことをい います(金商法 2 ㉘)。

⑶ 非課税の対象となる利子

 本制度の適用により非課税となる利子は、外 国金融機関等又は外国金融商品取引清算機関が 支払を受ける次に掲げる店頭デリバティブ取引 の証拠金に係る利子とされています。ただし、

国内に恒久的施設を有する外国法人が支払を受 ける利子で、その者の国内において行う事業に 帰せられるものは、非課税とされません(措法 42③)。

(注 1 ) 「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品 取引法第 2 条第22項に規定する店頭デリバ ティブ取引をいいます(措法42④三)。

(注 2 ) 平成26年度税制改正において、外国法人 等に対する国際課税原則のOECD承認アプ ロ ー チ(Authorised OECD Approach) に 沿った帰属主義への見直しが行われたこと を踏まえ、平成27年度税制改正においても、

本特例の創設と併せて、非課税の対象外と なる利子の範囲について、「恒久的施設を有 する外国法人が支払を受ける利子で、恒久 的施設帰属所得に該当するもの」とする改

正が行われています(改正法19により改正 された平成26年改正法による改正後の措法 42③)。

① 非課税の対象となる外国金融機関等が支払 を受ける中央清算されない店頭デリバティブ 取引の証拠金に係る利子

 外国金融機関等が、国内金融機関等との間 で平成30年 3 月31日までに行う店頭デリバテ ィブ取引に係る証拠金(店頭デリバティブ取

取引類型 取引対象 根拠条文 内  容 具 体 例

先渡取引 金融商品 金商法 2 一

①原資産である金融商品の売買であ り、②決済が将来の一定の時期に行 われ、③決済方法として現物決済だ けでなく差金決済が可能な取引

・有価証券先渡取引

・為替先渡取引

指標先渡取引 金融指標 金商法 2 二

①金融指標を参照指標とする取引で あり、②決済が将来の一定の時期に 行われ、③決済が差金決済のみによ り行われる取引

・金利先渡取引

・天候デリバティブ取引

オ プ シ ョ ン 取

引 金融商品 金商法 2 三

当事者の一方の意思表示により当事 者間において金融商品の売買等の取 引を成立させることができる権利

(オプション)を、相手方が当事者の 一方に付与し、当事者の一方がこれ に対して対価としてオプション料

(プレミアム)を支払うことを約する 取引

・有価証券オプション取引

・通貨オプション取引

指 標 オ プ シ ョ

ン取引 金融指標 金商法 2 四

当事者の一方の意思表示により当事 者間において金融指標の差金の授受 に関する取引を成立させることがで きる権利(オプション)を、相手方 が当事者の一方に付与し、当事者の 一方がこれに対して対価としてオプ ション料(プレミアム)を支払うこ とを約する取引

・金利オプション取引

スワップ取引 金融商品/

金融指標 金商法 2 五

複数の当事者同士で、複数の金融商 品の利率等又は金融指標に関する、

将来のキャッシュ・フローを交換す ることを約する取引

・通貨スワップ取引

・金利スワップ取引

クレジット・デリバティブ

取引 金商法 2 六

当事者の一方が相手方に保証料(プ レミアム)を支払い、これに対して 当事者間であらかじめ定めた事由

(信用リスク)が発生した場合におい て、相手方が金銭を支払うことを約 する取引

・クレジット・デフォルト スワップ(CDS)

金融商品取引法上の店頭デリバティブ取引の類型

引に付随する契約に基づき、当該店頭デリバ ティブ取引に係る契約に基づく債務の履行を 担保するために相手方に対して預託する金銭 をいいます。②ロ及び⑸②へを除き、以下同 じです。)で一定の要件を満たすものにつき、

当該国内金融機関等から支払を受ける利子

(所得税法第161条第 6 号に掲げる利子をいい、

特別国際金融取引勘定において経理された預 金等の利子の非課税(措法 7 )の適用がある ものを除きます。以下同じです。)は、上記

⑴①の特例による非課税の対象とされていま す(措法42①)。

 なお、上記⑴①の特例により利子が非課税 の対象となる証拠金の要件は、変動証拠金及 び当初証拠金の区分に応じそれぞれ次のとお りとされています(措規19の14の 2 ①柱書)。

(注 1 ) 「国内金融機関等」とは、租税特別措置 法第 8 条第 1 項に規定する金融機関又は 金融商品取引法第 2 条第 9 項に規定する 金融商品取引業者(同法第28条第 1 項に 規定する第一種金融商品取引業を行う者 に限ります。)で、国内に営業所又は事務 所を有するものをいいます(措法42④二)。

(注 2 ) 「変動証拠金」とは、店頭デリバティブ 取引の時価の変動に応じて、当該店頭デ リバティブ取引の相手方に対して預託す る証拠金をいいます(措規19の14の 2 ① 一)。

(注 3 ) 「当初証拠金」とは、店頭デリバティブ 取引について将来発生し得る費用又は損 失の合理的な見積額に対応して預託する 証拠金をいいます(措規19の14の 2 ①二)。

イ 変動証拠金

 上記⑴①の特例により利子が非課税の対 象とされる変動証拠金の要件は、店頭デリ バティブ取引に付随する契約に、 1 月に 1 回以上、店頭デリバティブ取引の相手方ご とに、当該相手方に対して預託すべき店頭 デリバティブ取引に係る変動証拠金の額を 当該店頭デリバティブ取引の時価により算

出する旨の定めがあることとされています

(措規19の14の 2 ①一)。

ロ 当初証拠金

 上記⑴①の特例により利子が非課税の対 象とされる当初証拠金の要件は、次に掲げ る場合の区分に応じそれぞれ次に定める要 件を満たすこととされています(措規19の 14の 2 ①二)。

イ 店頭デリバティブ取引の相手方との間 で一括清算の約定又はこれに類する約定 を締結している場合 当該約定又はこれ に類する約定をした基本契約書に係る基 本契約ごとに、当該相手方に対して預託 している当該基本契約に基づいて行う店 頭デリバティブ取引に係る当初証拠金の 額の合計額が当該基本契約に基づいて行 う店頭デリバティブ取引の想定元本額の 合計額の15%に相当する金額を超えてい ないこと。

(注 1 ) 「一括清算」とは、金融機関等が行 う特定金融取引の一括清算に関する 法律第 2 条第 6 項に規定する一括清 算をいい(措規19の14の 2 ①二)、具 体的には、基本契約書に基づき特定 金融取引を行っている当事者の一方 に一括清算事由が生じた場合には、

当該当事者の双方の意思にかかわら ず、当該一括清算事由が生じた時に おいて、当該基本契約書に基づいて 行われている全ての特定金融取引に ついてその時における当該特定金融 取引のそれぞれにつき金利、通貨の 価格、金融商品市場における相場そ の他の指標の実勢条件に基づき、公 正な方法により算出した額を合算し て得られる純合計額が、当該当事者 間における一の債権又は一の債務と なることをいいます(金融機関等が 行う特定金融取引の一括清算に関す る法律 2 ⑥、金融機関等が行う特定